Dead Leaves and the Dirty Ground

たまには、音楽の話でも。。。。

King’s Crossにある5畳も無い古びたFlat。

新世紀の花火を眺めながら、いつもの年とは違うであろう人々の高揚感と英国に未だ馴染めない自分が対照的に感じ、Flatmateと離れたかった僕は友達の家に転がり込む。上からの景色だけは良かったその部屋の小さな窓から煌びやかな光を眺め、これから世界の何が変わっていくのだろうと不思議な感覚の中、友達は既にClubのNew Year’s Partyへ、ドラッグ文化に慣れない自分は一人部屋に残り物思いにふけていた。

それは丁度21世紀の始まりの年、2001年。

Picadilly circusにあるタワーレコードに向かい、自分の好きなemo系の音楽を探していると、赤と白のとても発色の良いCDジャケットが店頭一面に並んでいた。そのアルバムはThe White Stripesの後の出世作であり、英語が未だままならなかった当時の自分でもその注目度は感じていたが、店内で流れるJack Whiteの甲高い声にアレルギー反応が出てしまい、ましてやブルースの境地にはたどり着いていなかったお子様の自分は、イヤホンを耳に入れ直し黙々と好きなジャンルを漁ってた。

そしてその数年後場所はまた同じKing’s Cross。

英国での生活にも慣れ、友達と香港人のBenの家にいた。Benはジミ・ヘンドリックスをこよなく愛する男で、 よく彼の家に行き朝まで好きな音楽を聴いていたそんなある日Benが言った。

Jack is monster !  Man !  Let’s Listen to Jack !!!!!

図太いギターサウンドが流れ出す。オーバードライブ、ファズ、ディストーション、チープでシンプルなサウンドが僕らの脳に響き渡るそれは、The White Stripes。そしてその爆音を聞きながらいつものように、いつの間にか眠りに入り突然滝の流れる音で目がさめる。

Benの家はびっくりするぐらい雨漏りがした。

なんで直さないのか?

ロンドンの大家はそう簡単には動いてくれない。僕らはそんな生活に十分慣れ、バケツを置いて水を出し、湿気った床とSMOKEの中、大好きな音楽を朝から聴く。それぐらいの柔軟性がその頃には備わり、それが海外生活の醍醐味だった。

そして現在Dead Leaves and the Dirty Groundを聞きながらなぜ自分は今の今まで聞かずじまいだったのだろうかと考えた時、あのKing’s Crossの窓から見えた21世紀の幕開けとタワレコにあったWhite Blood CellsのJack&Meg。そしてその後もBenの家以外では聴くこともなくあれから10数年が経った今。あの時の煌びやかな花火とジャケットは当時眩しすぎ、アングラな世界に片足を突っ込んでいた自分には無縁のもの、と感じていたのかもしれない。

今は日本の田舎の穏やかな暮らしが自分に余裕をもたせ、Jackの天才的なギターとMegの情熱的なドラムが現在の自分にはちょうど良い刺激になり、息子と彼らの素晴らしいGIGをYOU TUBEで楽しんでいる。

 

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